同級生交歓 文藝春秋 掲載記事

聖光学院

大塚将司 (作家・評論家)

東京・台東区 パラボリカ・ビス「カフカ・カフェ」にて(撮影 本社・山元茂樹)
(右から)
  • 作家・評論家
    大塚将司
  • 画家・武蔵野美術大学日本画学科教授
    山本直彰

 半世紀前、画家の山本は自作の詩を同級生たちに読み上げる“吟遊詩人”だった。彼が“明”なら僕は“暗”だった。毎日、物乞いする傷病日本兵と、闊歩する米兵たちをみて育ったこともあるだろう。カナダ人の修道士の仕切る学校に馴染めなかった。一種の適応障害。でも、サラリーマン記者になった。幸い取材相手に恵まれ、三十年、我慢できた。訣別して暫く経った頃、三十七年ぶりに再会した。九年前の夏の昼下がり。浅草の蕎麦屋で飲んだ。以来、山本が詩人だったらと、時折思う。立原道造の「透き通るような抒情」、中原中也の「迸る激情と癒せぬ悲哀」、萩原朔太郎の「屈折した望郷と哀愁」…。彼の詩人像は浮かばない。画家がよかった。彼の新作「未完のカフカ」が証拠だ。美術には混沌を“未完”のまま表現する力があるようだ。僕ら奇人変人は甲子園で著名な聖光学院(福島)と同名の横浜にある中高一貫男子校で同級生だった。

大塚 将司

この記事の掲載号

2015年12月号
2015年12月号
安倍晋三「一億総活躍」わが真意
2015年11月10日 発売 / 定価880円(税込)
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大塚 将司山本 直彰

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