文藝春秋SPECIAL
【中国 滅亡への法則】なぜ南シナ海に進出するのか?

南シナ海 対米核戦略の内幕

国際法を無視し、米国や周辺諸国からの批判にも耳を傾けず、領有化を進める背景には、核戦略があった

能勢 伸之 (フジテレビ解説委員) プロフィール

のせ のぶゆき/1958年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。フジテレビ報道局取材センター政治部で防衛・外交を中心に取材。ホウドウキョク「週刊安全保障」(http://www.houdoukyoku.jp/ 毎週土曜20:05~22:00)アンカー。著書に『東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか』(PHP新書)など。

 中国は2007年より、自らが引いた「九段線」内の南シナ海を自国の領海とみなし、2014年より、その領域内の島嶼(とうしょ)や埋立てで造った人工島に滑走路や港湾施設、レーダー施設を着々と建設している。当然、米国はこの行動に憂慮を示し、再三、やめるように警告を発している。また、中国との間で南沙(スプラトリー)諸島や西沙(パラセル)諸島などの領土問題を抱えるフィリピン、マレーシア、ベトナムなども、これを批判し、中国への警戒を強めている。「平和的台頭」を掲げていた中国はなぜ、そこまで居丈高(いたけだか)な行動に出ているのだろうか。

 その問いに対しては、南シナ海の資源やシーレーンを掌握するためだと指摘されている。

 確かに米エネルギー情報局(EIA)が2013年2月に作成したリポートによると、南シナ海には、埋蔵量110億バレルの原油と天然ガス190兆立方フィートが眠っていると推定されている。

 また、世界で取引される原油の約3分の1、液化天然ガスの半分以上が南シナ海を通る。シーレーンとしての重要性は論を俟(ま)たない。

 しかし、それらだけでは、中国の南シナ海での強引な行動を説明することはできない。

 中国の行動には、あまり語られないが、非常に重要な意図が隠されているのではないか。

 G2として、米国と並びたとうとする中国は、経済面だけではなく、軍事面、特に核抑止の強化が急務となるはずだ。

 核戦略のために南シナ海をおさえこもうとしているのなら、むしろ、そのように捉えた方が、中国の南シナ海での行動に一貫した戦略を見出すことができる。

 それはいかなる戦略なのか? 現代の核抑止理論をベースに考えてみることにしよう。

 その理論は歴史的には米ソ核戦争の想定によって鍛えられてきた。第二次世界大戦後、全面核戦争をしうる国は、米ソ以外には考えられなかったからだ。

【次ページ】米ロ中の戦略核兵器

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