文藝春秋SPECIAL
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会計士は見た グーグルの節税術、赤字続きのテスラ

グーグル、アップル、テスラモーターズ、アマゾン……眼光紙背、“帳簿”を読めば、儲けのカラクリ、会社の未来が明らかに

前川 修満 (公認会計士) プロフィール

まえかわ おさみつ/1960年石川県生まれ。同志社大学商学部卒業。アスト税理士法人代表社員。著書に『会計士は見た!』(文藝春秋)、『事件は帳簿で起きている』(KKベストセラーズ)、『決算書はここだけ読め!』(講談社現代新書)など。

 本稿では、アメリカを象徴する有名会社をとりあげ、その財務分析をしつつ日本とは異なるアメリカ企業の姿を浮き彫りにしてみよう。

 まずは、アメリカを象徴するひとつのタイプとして、グーグルとアップルの財務データをみてみよう。

 グーグルは、世界中に広まったインターネットの企業として知られているが、これを統括している親会社はAlphabet Inc.(以下「アルファベット」)という会社である。

 アルファベットとアップルに共通するのは、損益計算書に計上される「法人税等」の金額が小さいことである(図表1)。

 アメリカの実効税率は40.75%であって、主要先進国の中では、もっとも高い(図表2)。しかしながら、2015年における税引前利益に対する法人税の負担率は、アルファベットが17%であり、アップルが26%である。つまり、両社の損益計算書の法人税の計上金額が、米国企業の実効税率と比して著しく低いのだ。

 ちなみに、2015年度の日本企業を例にとれば、ソフトバンクが44%、楽天が52%になっている。日本の法人税の実効税率は、近年、30%台で推移していた。それを考慮するならば、この両社の納税負担は少し高すぎるように思われる(これにはいくつかの理由があるが、ここではその詳細な説明を省く)。いずれにせよ、ソフトバンクと楽天の両社とも、税法に準拠した結果として、これだけの法人税を納めたのである。

 とはいえ、アルファベットとアップルにおける法人税の負担率が低いのには理由がある。

 それは、アルファベットとアップルが、DIDS(ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ)という節税戦略を行っているからである。

【次ページ】「愛国的」と「愛株主的」

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