同級生交歓 文藝春秋 掲載記事

鹿児島県立鶴丸高校

大田弘子 (政策研究大学院大学教授)

東京・千代田区 みずほフィナンシャルグループ本社にて(撮影 本社・榎本麻美)
(右から)
  • みずほ証券取締役副社長
    揚村康男
  • 公認会計士
    岩切英彦
  • 政策研究大学院大学教授
    大田弘子
  • 東京医科歯科大学医学部長
    江石義信

「僕のこと、覚えてる?」と江石から電話があったのは数年前だ。医療保険財政のことで話したいということだった。そうか、彼は医者になっていたのかと、『巨人の星』の左門豊作そっくりだった姿を思い浮かべた。会ってみると、スリムになったものの剽軽な雰囲気は高校時代のまま。

 揚村から突然の連絡をもらったのは、十年近く前だったか。「昼飯でもどう?」ということで寿司をごちそうになった。高校時代は昼あんどん風でもの静かだった彼が、精悍な証券マン(当時は野村證券)になっていて心底驚いた。

 岩切とは大学も同じなので、時々会っている。高校時代から鹿児島弁の似合う“薩摩っぽ”だったが、いまもちっとも変わらない。面倒見のよい人柄で、公認会計士として鹿児島の企業に頼りにされている。

 この四名は、一九七二年に鹿児島県立鶴丸高校を卒業した。「鶴丸」は鹿児島城の名称である。名だたる進学校で、当時は午前に四時限、午後に四時限もの授業があった。しかし、受験に追い立てられた記憶はなく、思い出はのどかさとおおらかさに彩られている。戦中戦後の屈折を抱えた味わいのある先生も少なくなかった。

 江石は柔道で鳴らし、揚村は空手、岩切は剣道と、いずれも質実剛健の気風である。男子は坊主頭で、高校一年時に坊主頭反対の生徒集会が開かれ、やっと髪を伸ばせるようになった。私は体操部にいてブルマーで練習をしていたので、彼らの記憶のなかの私はブルマー姿らしい。南国の強い陽光と、噴煙をあげる桜島がいつも近くにあった。

 それぞれに忙しくしているが、とうに還暦を過ぎた。近いうちに、一緒に桜島を眺めながら、芋焼酎を痛飲しよう。

大田 弘子

この記事の掲載号

2016年10月号
2016年10月号
真相スクープ 皇后は退位に反対した
2016年9月9日 発売 / 定価880円(税込)
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