特集 文藝春秋 掲載記事

吉本社長が描く「お笑い」の未来

大﨑洋(吉本興業社長)

世の中、みんなアホのほうが面白い

 毎年、年末年始の時期になるとテレビ各局で特番が組まれますが、今年も吉本のタレントがたくさん出させていただけるみたいで、たいへんありがたいことです。

 いま吉本には芸人だけでなく、俳優、アスリート、文化人、ミュージシャンなど所属しているタレントは六千人以上います。たくさんいて僕も把握しきれてないです(笑)。

 意外に思われるかもしれませんが、自社のタレントと会って話をしたり、ご飯を食べに行くことは残念ながら殆どありません。よく芸能事務所の社長さんたちはタレントとゴルフに行ったり、ハワイに行ったりしているみたいですが、僕は殆どありません。もちろんタレントに興味がないというわけではないんです。ただ自分がマネージャーをしていたときの経験から考えると、担当しているタレントと上司が、ましてや社長が会ってどうこう言われるのはきっと嫌だろうなと思うんです。その都度、いい距離で信頼関係を作っているつもりです。だから本当にテレビで見るぐらいです。うちのタレント、テレビによく出させて貰ってるなぁ、そんな風に眺めています。

ダウンタウンをデビュー前から支えた

 例えばダウンタウンの浜田雅功君と松本人志君。二人とは吉本総合芸能学院(NSC)というタレントを養成するスクールの一期生として、一九八二年に彼らが学校に通い始めたときからの仲ですが、松本君とは二年ほど会ってないし、浜田君とももう三年も会っていないと思います。当時と比べると格段に会う機会が減りました。

 明石家さんま君とは、二〇一一年の島田紳助君の騒動のときにコソッと夜メシを食べに行ったのですが、それが十五年ぶりぐらい。すごく久しぶりに行きました。若いころは朝から晩まで一緒に仕事をしたり、合間に「ちょっと行こか」と誘ってメシを食べに行ったりしていた時期もありました。そのときに二、三年遅れで社長就任のお祝いもくれたんですよ。本当に嬉しかったけど、ただ貰うのもしゃくなので、中身を覗いて「もうちょっとくれてもええんちゃう?」とか言ってお互い笑い合いました(笑)。

 テレビで吉本興業所属のタレントを見ない日はない。バラエティだけではない。ニュース、ドラマ、音楽……もはや吉本なくして番組は作れない。大阪のなんばグランド花月、東京のルミネtheよしもとなど、劇場も連日盛況だ。いまでは映画を製作・配給し、二〇〇九年から沖縄国際映画祭(島ぜんぶでおーきな祭)を運営。韓国や台湾、米国などに現地法人を設立しイベントの企画運営を行なう。最近では米最大の動画配信サービス企業・ネットフリックスと提携、又吉直樹の芥川賞受賞作『火花』をドラマ化した。

単に“お笑い”をメディアで発信するだけでなく、積極的に事業展開を仕掛けているのが社長の大﨑洋氏(63)だ。大﨑氏は一九七八年に吉本興業に入社。東京支社創設に携わり、同世代の明石家さんまや島田紳助と共に現場を駆けずり回り、ダウンタウンをデビュー前から支えてきた。その後、音楽事業などを立ち上げ、〇九年四月、代表取締役社長に就任した。

【次ページ】「社長、代わりましょうか?」

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