同級生交歓 文藝春秋 掲載記事

三縄村立三縄小学校・中学校

内田淳正 (三重大学学長)

徳島・三好市 三縄小学校にて(撮影 本社・三宅史郎)
(右から)
  • 三重大学学長
    内田淳正
  • ユノ川クリニック院長・広島県産婦人科医会副会長
    温泉川梅代
  • 三好市議会議員
    高井マサ代
  • 滋賀医科大学病院長
    柏木厚典

 私たちは、徳島県の山間の村にあった三縄村立三縄小学校と三縄中学校の同級生だ。昭和二十八年に入学し、中学卒業までの九年間一緒。当時の記憶は、勉強より、ツクシやワラビを採り、川に遊び、アケビをとり、野ウサギを追っかけたことなどで、日本の里山の原風景そのものだ。

 柏木君と私は高校だけは別だが、大阪大学医学部でまた一緒になり十五年間の同級生で、お互い最も気の置けない友人だ。彼は非常な勉強家で、篤実な人柄で友人達の信頼を集めている。卒業後は基礎医学を修め、内科学に移り、糖尿病の臨床と基礎を融合した新領域を開拓し、診断治療の第一人者となり、滋賀医大の教授から現在は病院長兼理事として活躍している。

 温泉川さんは土佐高校より広島大学医学部に進み、広島市で産婦人科クリニックを開業し、これまでの実力と実績が買われ、現在は広島県産婦人科医会の副会長として地元の厚い信頼を集めている。シャンソン歌手として時にステージに立つし、ゴルフ、酒の実力も相当なものだ。高井さんは京都薬大を卒業後、さらに滋賀大学経済学部に進み、その後故郷の病院で薬剤師として勤務した。地域の変革を夢みて政治家を志し、町会議員から市会議員となり地元の市民の幸福度向上に努めている。遠く故郷を離れた者からすると彼女の活躍は嬉しい。詩吟で喉を鍛え、政治に役立てている。

 私は整形外科医を志し、地域現場での医療から基礎研究まで、僻地から都市部の病院勤務と、広い領域にわたって診療に従事してきた。これが幸いしたのか、三重大学に教授として赴任してからは病院長、学長に選任され、包括的な仕事をする機会をえることができた。同級生六十三人の小さな田舎の学校から我々が育つことができたのは情熱的な教師と地域ぐるみの教育のおかげと感謝している。

内田 淳正

この記事の掲載号

2012年4月号
2012年4月号
日本をギリシャにせぬために
2012年3月10日 発売 / 定価800円(税込)
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